第3章 35円と価値の変わらないもの
記憶を操作され、気を失っている運転手と、幼女を、近くのバス停に寝かせて近所の人にお願いして警察に通報して貰った。
もちろん偶々(たまたま)通りすがった通行人を装って。
これで、数十分で二人は保護されるはずだ。
トラックは、本来なら起こったはずの事故で、廃車になるはずだったので、彼女が処分した。
簡単に言うと、海に落っことした。
一通りの始末を終えると、日も落ちてしまっていた。
帰りは彼女の瞬間移動のお世話になり、一瞬で家まで戻れた。
「便利だなぁ……」
素直に感心する僕に、彼女は言った。
「もっとも、この能力は全くのノーリスクってワケじゃ無いのよ…」
言って、暗い顔をする彼女……
「え?」嫌な予感がした…彼女の能力のリスクとは…
ぐうぅぅっっ!!!
っと、いつか聞いた様な音が響き渡った。
犯人は僕じゃない。
「わたしのカロリーを消費してるのよ…」
彼女が赤らめた顔で、目線をそらしながらつぶやいた。
不覚にも、彼女のことを、ちょっと可愛いと思ってしまった。