第1章 34円と弁慶の泣きどころ
「邪魔立てするか!?時空間警察の犬め!!」
二人の共通点は、時代錯誤な服装と顔にかけている片眼鏡。
某国民的アニメのスカウターみたいだ、お互いのソレが「ピピピッ」と電子音を発している。
「データ不明!私よりも未来人なの!?」
「過去人の時空間警察官か、ちょろいな…いや、こいつはちょいと厄介だな……」
互いに何かの情報のやり取りがあった様だが、雰囲気的に弁慶さんの方に余裕がありそうだ。
「今の装備では、若干不利だな……出直すか」
弁慶さんが、余裕の態度を崩さずニヤリと笑うと。
ドンッという爆発音を響かせて、一瞬で視界の端まで跳躍した。
コスプレやめてオリンピックに出ればいいのに、勿体無い。
そして、視線を戻すと、大正娘さんもいつの間にか居なくなっていた。
何なんだ、今のコスプレ集団……テレビの撮影!?
どっきり!?
驚いたことに、大層な騒ぎだったはずなのに、ぼく以外誰もこの事を気にするそぶりも無かった。
この校庭で、僕だけが夢でも見ていてのだろうか……