第3章 35円と価値の変わらないもの
という音はしなかった。
おかしい。はねられたにしても、受け止めたにしても、何かしらの音がするはずだ。
明らかにおかしい全くの無音。
思わずそむけてしまった目を戻すとそこには……
片手でピタリとトラックを受け止めている彼女がいた。
こちらの視線に気づいて、大丈夫と軽くウインクを送る彼女。
何がどうしたのか全く状況がつかめない三人…
すなわち、僕と、末は博士の幼女と、トラックの運転手。
そのうちの、トラックの運転手に、彼女はおもむろに銃を向けた。
見たことのない形の銃だ、形はおもちゃの銃のようなのだが、質感は本物………、というか人に危害を加える機械である迫力を感じた。
同じことを感じたのだろう、思わず防除姿勢をとるトラック運転手。
「大丈夫!記憶を消して少しだけトラウマを植え付けるだけなのよ!」
彼女は引き金を引いた、同時にトラック運転手は気を失ってハンドルの上に倒れこんだ。
!?