第3章 35円と価値の変わらないもの
そして、明日の分もと余分に作っておいたキンピラと粕汁が、我が家の食卓の戦線を支えていた。
「おかわり!」
……が、容赦のない敵の進撃に、あっさり戦線は崩れてしまった。
今朝下ごしらえしておいた、僕の晩御飯がキレイに消えた。
明日の朝食や、学校で昼に食べる弁当の分もあったので、3人前は軽くあったはずなんだが……
おかげで僕の晩御飯は、米粒ひとつ残さず無くなってしまった……
今日買ってきた、明日の夜用の食材を使って、サッと何か作るか?
まだ夕方というには早い時間だし、再度スーパーに買い出しに行ってもいい。
「ん、もうないの?
うん、美味しかった♪ご馳走様!!」
両手を合わせて、笑顔でご馳走様をする彼女。
理由は分からないが、明日の朝ごはんは、もっと美味しいものを用意してあげたくなった。
「僕の名前は、津蔵 マナブ 君は?」
とりあえず、外人さん改め未来人さんの名前を聞くことにした。
「35円なんかに名乗る名前は無いわ!それに未来の情報は、ほんの些細なものでも教えるわけにはいかないのよ!」
ムカッ!
「じゃあ、100万ジンバブエドルさんで!(ニコッ!)」
「ちょっ…怒っていいかどうか、現在の為替を確認してから殴るから待ってなさいよ!」
ちなみに100万ジンバブエドルは、約7.7円です。(2015年1月現在)