第2章 35円と100万ドル
「不治の病と言われておった厨二病じゃが、今ならとてもよく効く薬がある、安心してよいぞ。」
「………」
「よかったですね、外人さん。あなたの厨二病、治るそうですよ。」
「やったぁ〜ありがとう先生! 35円!!
……
……
……って、誰が厨二病なのよぉぉぉぉっっっっ!!!!!」
にこやかにノっていた外人さんが、突如ブチ切れた!
外人さんでも「キレやすい最近の若者」の範疇に入るのだろうか?
「ここは病院なんですから、静かにしないと、外人さん」
「しかも、このやぶ医者、『厨二病』に効く薬があるですって!?
厨二病は、未来でも不治の病なのよ!!」
未来でも、治らないのか厨二病。
てか、未来でもあるんだ厨二病。
「ふぉっふぉっふぉっ、まぁまぁ未来人さん。
確かに効く薬は無いが、風邪薬と言って渡した胃薬で、実際に風邪が治る例があるんじゃ。
思い込みで病気が治る事もあるんじゃよ」
「なるほど!
つまり思い込みが激しい厨二病の症状を、逆に利用するわけですね!!」
「察しが良いのう少年!!」
「プラシーボ効果でしょ!知ってるっつーの!!
所々にリアリティを持たせて、あたしの厨二病設定を補強すんじゃないのよ!!!
むー……、全く!
証拠を見せないと、信じてもらえない様なのね……」
彼女は、僕の手を掴むと目を閉じ、
「時空間転移(クロノス・ループ)!!」と叫ぶと、僕の目の前は真っ白になり、一瞬で自宅の前まで戻っていた。
「どう?信じる気になった?」
得意満面で微笑む彼女に見惚れていたら、ぐうぅぅ!と大きなお腹の音が鳴った……
犯人は僕じゃない。