第10章 『厄介者』
そして何故か今はリゼという女の人の話だ。
どうやら月山さんと本のことを語る仲だったようだ。
…少し様子がおかしいが。
「月山さん大丈夫ですか?!」
ピシピシっとコーヒーカップにヒビが入っていってるのに気づいた金木が慌てて声をかけて、そのカップに手を添えた。
その時、
「っ!!」
(痛っ!)
「ああ!すまない、これで傷を抑えてくれ」
そう言ってハンカチを傷に当てた。
「あ、ありがとうございます」
「鈍臭いなぁ金木君w」
(喰種の金木君がコップの破片なんかで手を切るわけがない。…確実に月山さんがやったことだ…)
私はその光景を見て、気づかれないように警戒心を引き上げた。
それから少ししたら金木君の血が止まったのでハンカチを洗って来るよと言って月山さんが席を立った。
「…ふぅ。緊張するわ、これ」
「え、陽菜ちゃんも?どうして?」
(僕の目的気づいてる!?…いや、流石にあのバーに来て話聞いてないから無理だろ)
「ん?途中からは緩めてたけど、さっきのでちょっと危機感持ったかな」
「さっきのって?」
「それは…」
と、血のことを言おうとしたら丁度、月山さんが戻って来るのが見えたのでやめた。
「待たせたね。そろそろ場所を変えようか?
良い食後の運動が出来る所を知ってるんだ」
そう言われ私達は場所を移ることにした。