• テキストサイズ

灰色の人間

第12章 『本性』


遠くで金木が何か言ってる。
もう、耳も正常に働いてはくれない。

トーカちゃんの反応を待った。

「…いいんだな?」

その言葉に私は頷いた。


少し緩めた首元に噛り付いた


ガリッ

ブチッ


「ッ…!!」


一口私の肉を食んだ。
私は起こしていた身体がゆっくり傾いていくのがわかったが、どうすることもできなかった。
ドクドクと流れ出る腹部の血を止血している術も緩みだしてきた。


「陽菜!
チッ、さっさと済ます」
(なんだこれ…身体から力が溢れる…!)


倒れる私の元へと金木が駆け寄ってくる。


「陽菜ちゃん!!」

「お前は安部を守っとけ。
月山は私がやる」


そう言ってトーカちゃんは月山へと羽赫を飛ばす。


先程迄と速度も力も比ではない


甲赫である月山は羽赫に有効なはずだが、そのパワーバランスすらも覆す。


グサッ

ーーーグサグサグサグサッ!


月山の身体を大量の赫子が貫く。


「ぅ“グァ…っ!」
(こ、この…僕が…)


月山はその場に崩れ落ちた。


「殺った…?」
(生き残れた…)


「いや、死んでない。
虫の息ではあるけど。
この重症でほっとけば勝手に死ぬよ」

その場に倒れる月山に目をやれば視線が合った。

「ッ…、後生だ…君の肉を…一口でいい……くれないか…」


私はそんな自分本位な発言に冷笑した。

「…その言葉を…助けて、と乞う人達を…一体何れだけ殺した?
自分だけ助けて貰えるなんて都合のいいこと。」

私は床に這い蹲りながら最後にそう睨みを利かした。


「そんなに肉が喰いたきゃ自分でも食ってろ。」


そう言ってトーカちゃんは私を背をってくれた。


「陽菜ちゃん!!しっかり!!」

「とりあえず あんてぃく に行く。」


トーカちゃんに背負われ私たちは あんてぃく に戻った。

着いたらマスターが店に居て、怪我の手当てをしてくれた。私には病院へ行っておいでと勧められたが私はそれを頑なに断り止血を終えて落ち着いた段階で自分自身に痛み止めの術を施し家へと帰ることにした。

金木に引きとめられたが大丈夫だと言い張った。

/ 132ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp