第10章 『厄介者』
私は自分の分をとってから手を拭き、サンドイッチを一口食べた。
「どうだい?」
(それは一体どんな風に君には感じられるているんだろうね)
「美味しいですよ!
中の卵が絶妙なふわトロだし、マヨネーズも卵黄の甘みが強い感じがしますね…多分 自家製だと思いますよ!
一口食べますか?」
(ちょっと意地悪してみよう)
にっこり微笑んで私は自分が齧ったとこの反対を差し出した。
喰種なことはわかってるので月山さんがこのサンドイッチを食べても美味しいと感じることはない。
それを分かっててやるのだから大概私も性格が悪いようだ。
「…そんなに美味しいなら一口もらうよ」
そう言って私からサンドイッチを受け取った。
そして齧りついた。
「あ、」
(そっち食べんのかよ)
月山さんが齧りついたのは私が齧ったところだった。内心で苦笑いを浮かべたがまぁいっかとやり過ごすことにした。
ここで流したのは紛れもなく私の緊張が緩んでいたせいなのだろう。
「…!そうだね、卵が絶妙だ」
(っ!なんだこの味は!?こんな物を口にして美味しいだと?!…初めての感覚っ!!)
一瞬フリーズしたように思ったが当たり障りの無い感想を述べてからもう一口だけ齧って私に返した。
「…」
(?何故だ…。一体何が違いなんだ)
「あー!一口って言ってたのに!
そんなにお気に召したなら自分で頼んで下さいよ」
(お〜!ここまで演技するなんて!感心するわ)
私はそう言ってからパクパクと食べていった。