第10章 『厄介者』
次の日、大学には久しぶりの金木の姿があった。
授業のコマの関係で気づいたのは昼御飯を食べた後だった。
金木はどうやら誰かと話してるみたいだ。
(んー、ここからじゃ木に隠れて誰と喋ってるかわからないか。永近かな?)
私は興味が湧いたのでチラッと相手が見えるところに移動してみた。
すると見えたのは、
「え?」
(何であの人がいるの?)
そこに見てたのは昨日、あんてぃくに現れた男性の喰種だった。
なんだか悪い事が起きそうな気がして私は2人へと足を向けた。
「やっと大学に来たんだね。」
「あ、陽菜ちゃん。そろそろ本気でヤバイと思ってね」
「やっと気づいたかw
ねぇ金木君、こちらの方が誰か聞いていい?
昨日、あんてぃくに来られてた方…ですよね?」
私はまるで今気づいたかのように装って金木に尋ねた。
「こちらは月山さんだよ。今は本について話してたところなんだ」
(トーカちゃんが近づくなって言ってたんだけど悪い人には見えないんだよな)
「話すのは初めましてになるのかな?
僕は月山習、君の名前を聞いてもいいかい?」
(ただの人間のようだね)
「あ、失礼しました。私は安部 陽菜です。
どうぞよろしく」
(物凄い怪しい…。確実に裏がある笑だ。)
柔らかい笑顔を浮かべてそう言ってきた月山さんに対して私も人懐っこさそうな笑顔で答えた。