第9章 『家族』
「はい。流石に言い辛いですからね」
(話せるのはここまでですけどね。
苦笑いしながらそう答えた。
「前に僕を試したのって陽菜ちゃんの匂いで僕が正気を保つかだったんだね」
金木がその事実に行き着いたので私は「そうだよ」と答えた。
これで私の話は終わり!と言うように私は話を切り替えた。
「あの、私からも一つ聞きたいんですけど、そちらの喰種さんは誰ですか?」
私は入口にもたれかかっている男性を指差した。
彼はたしか金木に腹刺されてたような気がするけど絶対に私の治療は受けないだろうことが容易に感じ取れたのでその事には触れずにそう聞いた。
私の質問にはマスターが答えてくれた。
「彼はヨモ君だよ。一応ここの従業員だけどホールには出ない裏方だね」
「…」
マスターが紹介してくれたが当の本人は視線を外に向けたまま黙りだ。
取り敢えず
「始めまして」
とだけ挨拶をした。
この後、私と金木は自分の家に帰っていった。