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灰色の人間

第9章 『家族』


「そりゃまあ…。普段は一応隠してるんですけど。
ねぇ、ヒナミちゃんって五感が鋭いとか言われたりしない?」
(通常の状態で感じ取れるなんてかなりだと思うんだけど)



「無いと思う」



「ほんと?絶対に鋭いと思うよ。特に嗅覚が。」


私はトントンと自分の鼻を指しながらそう言った。



「ヒナミちゃんが嗅ぎとった匂いはね、私の特殊体質なんだ。」

「あ?陽菜って変な奴だとは思ってたけどそんなもん持ってんのかよ」

「まあね。全然嬉しくない体質だけどねw」

「どんなものなんだい?」
(隠すつもりは無いようだね)


「妖とか喰種からすれば物凄い美味しそうな匂いって感じですね。
私の特殊体質は妖が私の血肉を喰らえば不老長寿の妙薬になるというものなんです。なので妖には死ぬほど命狙われるんです。
以前、血を流した時に妖が集まった時がありましたよね?それの原因がこの体質なんです。」



あはは、と笑いながらそう言ってさらに続けた。



「で、喰種からしても極上の餌のような良い匂いがしてるみたいで、匂いを嗅いだら我を忘れて私を食べようとするんですよねw
しかも、極限まで空腹を抑えてる喰種は嗅覚上がるみたいで問答無用で襲われます。」
(しかも喰種にとっても治癒力や力を上げたりできる。最高級の餌だから)



そこまで言うと私の言わんとすることが伝わったようで、皆の顔が引きつった。


「あ、皆気づいたみたいですね。
私が以前に喰種に狙われたときもこれが原因です。
普段は隠してるので支障はないんですけどね。」



そう言いながら微笑んだ。
そしてヒナミちゃんをチラッと見てから言葉を続けた。


「でも、ヒナミちゃんの鼻は気づいたみたいです。基本、この段階で私を襲ってて普通なんですけど更に珍しいことにかなり理性の強い子です。私の匂い嗅いで正気な人は中々いませんから」


「もし、私がお姉ちゃんを襲ってたらどうなったの?」
(多分…殺される)

「悪いけど殺り返すよ。
ま、その心配なさそうだから大丈夫だ。
私は喰種を殺したいわけじゃないから」
(もう、命を奪うのは嫌だし)


「なる程ね。君がまだ言えないことが有るとは思ってたけどこのことだね」
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