第9章 『家族』
ニコリと笑いながら私は立ち上がろうとしたらヒナミちゃんから予想外の言葉がでた。
「…お姉ちゃんも、金木お兄ちゃんとおなじ?」
(前はわからなかったけど変わった匂いがする…)
「え…?違うよ」
(ん?私って金木君に似た体臭してるの??)
「…不思議な匂いがするから、一緒なのかなと思って」
(違うんだ…。でも、良い匂いだな)
「…」
(もしかして、勘ずかれてるの?)
私はヒナミちゃんの発言に少し思案した。
「匂うか?」
(普通の人間より匂いしねぇんだけど)
クンクンとトーカちゃんに匂いを嗅がれた。
「うわっ!」
(びっくりした〜!)
「ヒナミ。どんな匂いがするんだ?」
驚いている私を無視してヒナミちゃんにそう聞いている。
「えっと、"甘い匂い"なのかな…?ほんのりしかわからないけど」
(何て言うんだろう…美味しそう…かな?)
私はヒナミちゃんの『甘い匂い』という単語に目を開いた。
そして、確実に嗅ぎとってるんだと確信した。
「その匂いがどういうものか知っているのかい?」
(…さんがまだ何かを隠してるのはわかっていたがコレのようだね)
マスターにそう問われて私は知らぬ存ぜぬを貫こうと思っていたのを諦めた。
まあ、話しても別に損なことは無いので話すことにした。