第9章 『家族』
「はあぁ!?!?お前いきなり何してんだ!」
ガスッ!
「うおっ!危なっ!落ち着いて落ち着いて!その拳を下ろして!!」
(確認のために服少しめくっただけで殴られかけるとは)
私はどーどーとトーカちゃんを宥めてみた。
「ふざけんなよ」
だが、余り効果は無かったようだ。
「自分から見せてくれる雰囲気が無かったから捲るしか無かったんだよ。
で、今ので傷バッチリ見えたから治療しよう」
にっこり笑って手を差し出した。
その状態で止まっていたが中々トーカちゃんが手を握ってくれない。
そうしてるとマスターが助け舟を出してくれた。
「トーカちゃん診てもらっときなさい。」
マスターの一言で渋々だがトーカちゃんは傷を出してくれた。
服のしたにあった傷は私が想像してたものより大きなものだった。
「よくこれで動き回ってたね」
(これ、人間だとショック死してても不思議じゃない傷だよ。)
感心しながら私は傷に手をかざした。
右手をかざし、左手で結んだ刀印を口元に当てて呪文を唱えた。
途中で札を傷にかざし唱え続けた。
見る見る傷は塞がっていった。
「よし、これで痛みはないでしょ?」
私はそう言って立ち上がった。
そしてヒナミちゃんにも向き直った。
「ヒナミちゃんは怪我してない?」
私は目線を合わせるために膝を付いてそう問いかけた。
するとヒナミちゃんは少し驚いてからフルフルと首を横に振った。
「ん、ならよかった」
(嘘は言ってないね。見た感じ外傷は無さそうだし)