第9章 『家族』
するとそこには見覚えの無い喰種が1人いて、その人を金木は腕で貫いていた。
私は驚いて直ぐに駆け寄ろうとしたが刺されている喰種に目で来るなと言われた。
私も下手に刺激を与えるのは得策ではないと思い直ぐに飛び出せる状態で影に身を隠した。
声は殆ど聞こえなくて2人の動きだけに注意を払って見ていたら どうしたのかは不明だが、金木は正気に戻ったようだった。
私はそれを確認するために2人に近づいた。
「金木君…大丈夫?」
「っ!来るなっ!」
私が金木に声をかけて近づこうとしたら金木に強い拒絶を示された。
「僕…は君を食べようとしたんだ…」
だから…と小さく呟いた後 下を向いてしまった。
そんな金木を見て私は足をさらに進めて金木の目の前で止まった。
「私を甘く見ないで。金木君じゃ殺せないよ。
潜り抜けた修羅場の数も、戦闘の経験でも私の方が多いしね」
私はそこまで言って金木からその場にいるもう1人の喰種へと目を向けた。