第9章 『家族』
夕刻、今日は大学の友達と遊んでいた。
久々にカラオケで歌ったおかげでスッキリだ!
しかも今日は調子が良かったのか得点も90点台連発だった!
私は鼻唄を歌いながら悠々と帰り道を進んでいた。
すると、昨日の河川敷の方からドンッ!!という大きな音が聞こえてきた。
近くの妖達が囁きかけてくる。
それを聞いて私は駆け出した。
「あの2人っ!!無茶しすぎ!!」
先ほどの妖を捕まえて道案内させながら私は急いだ。
「っ!人間の足じゃ遅い!
あ〜!!もうっ!紅蓮っ!!」
(呼ぶしかないー!絶対怒られるよ)
『遅い!呼ぶのが!!』
「ぅぅ、ごめんってば!」
(やっぱりね)
『お前が名を呼ばなければ俺たちは今は現れることができないんだぞ!
見てるだけのこっちの心境も考えろ!』
私は呼び出した神将の1人である紅蓮に速攻でお説教を食らっていた。
神将というのは安部 清明の時代から安部家に仕える式神だ。
式紙とは違い神の末席に位置する者たちだ。全員で12人の神将達がいる。
何故今まで彼らを呼ばなかったのか。それは彼らが人を傷つけること、ましてや殺すことは禁忌とされているからだ。
神将達は人の願いが具現化されたもの達だ。人の願いから生まれたということは人を親に持つということ。それは誰か特定の人物を指すのではなく、人全てに該当する。
だからこそ、彼らは人を傷つけてはいけない。それは親に刃を向けるのと同義であり、それはいつの時代も大罪に値するからだ。
このご時世、妖の数は安部 清明が活躍した平安より極端に減り、逆に人が増えた。
なので私達、陰陽師が活躍する場が減っているのだ。だが、依頼が全く来なくなってるわけではない。
その内容は呪殺が増えたというだけだ。
依頼主は基本政治関係者が多くいる。
依頼が人を病にしたり、殺すことである以上 神将達の力を借りる訳にはいかない。
咎を背負わせるわけにはいかないからだ。
だから最近は滅多に神将達を呼び出さなかった。