第9章 『家族』
カランコロン
扉を開けると共にコーヒーのいい香りとマスターの声が聞こえてきた。
「いらっしゃい。安部さん。
最近来なかったから体調でも崩したのかと思って心配してたんだよ」
「お久しぶりです。風邪は引いてないですよ。
仕事で数日家を空けてただけです」
私は「心配をおかけして申し訳ありません」とはにかみながら軽く謝罪した。
そうしてから私は窓際の席につき、コーヒーを注文した。
しばらくするとコーヒーを持ったマスターがこちらにやって来た。
「はい お待たせ。
こっちはサービスだからね」
といい、ベイクドチーズケーキを用意してくれた。
「わぁ!!いいんですか!ありがとうございます!!」
「君には色々お世話になってるしね。これからもよろしく頼むよ。
それとそのケーキの感想を後で貰えると有難いんだがいいかい?」
「勿論です!!わかりました食べたら感想いいますね!
もしかして新メニューだったりしますか?」
「その通りだよ」
ニコっと笑ってからマスターはカウンターへと戻って行った。
私はコーヒーを飲みながらケーキを食べたところ味は何の問題もないぐらいに美味しかった。本当になんで味見なしで作れるのかわからないと思うぐらいに。
のんびりと ここで時を過ごしていたら勢い良くドアが開けられ、息が乱れてる金木とトーカちゃんが入ってきた。
「ちょ、2人とも大丈夫?兎に角水飲んで落ち着いた方がいいよ」
「いや、いらない」
「ぼ、僕も今はいいよ」
と勧めたが足早に2人はスタッフルームの方へと消えて行った。
何をしてたのか気になるところだがあの雰囲気じゃ簡単に教えてくれなさそうだから私は聞くことを諦めマスターに「このケーキとても美味しかったです!!これなら販売しても人気でますよ!」
と大絶賛して家に帰った。
家に着いてみると案外あんてぃくから近くてラッキーと思ったのと、驚いたことに金木の家もほぼあんてぃくと同距離のところにあった。
「おおー!この立地最強だね!!」
しかもセキュリティもしっかりしてて安心して眠れそうだ。
一番嬉しいのは家賃がタダだということだけどね!
新しい住処にウキウキしながら入って行った。