第9章 『家族』
「ねえ、トーカちゃん本当に行くの?いきなり敵の本拠地って!!!」
「何度もうるせぇんだよ。怖いなら私だけで行くから」
「い、行くよ!!」
(僕も力になりたいんだ!)
「なら黙って来な。そんなんじゃ疑われるよ」
こんな会話を繰り広げる2人組に私は帰り道で出会った。
「ん?金木君にトーカちゃん?
こんなとこで何してるの?」
(金木君はとりあえず大丈夫そう)
まだ前から来る私に2人とも気付いて無かったみたいでいきなり声をかけたらすごく驚かれた。
「え!?陽菜ちゃん!?」
「貴方こそ何をしてるんですか?」
「ん?金木君から聞いてない?
私は仕事に行っててその帰りだよ」
私は隠すようなことでも無いので正直に答えた。
「2人は?何してるの?
金木君なんてコスプレまでしてるしさ」
そう、指摘した通り金木は今コスプレというのかはビミョーなのだが 大学生でありながら高校生の制服を何故か着ているのだ。まあ、何気に似合ってるからいいのかな?
「私の用事にちょっと付き合ってもらってるんですよ」
「へー 珍しいね。トーカちゃんが金木君を頼るなんて」
失礼ながらも私は驚いたように目を開いた。
そう話してるとトーカちゃんが「急いでるのでこれで失礼します」と言って金木を引き連れて足早にその場を去って行った。
別に気にかける必要はないかなと考え、私は久しぶりに あんてぃく のコーヒーを飲みに行くことにした。