第8章 『仕事』
もう明け方近いので結果を報告してから家に帰ろうと思い私達はCCGへの道を戻りはじめた。
その道のりで亜門さんに少年の白骨を持ってもらった代わりに色々な質問に答えた。
「あの霊は祓わなくてもよかったのではないんですか?」
(寂しくて居たのならそのままにしておけばいいんじゃ)
「それはダメです。あのままにしておけば淋しさの余りに子ども達を自分の所へ引き摺り込んでいたでしょう。
自分はどうしても私達人間の中には入れないから。
そして、一回でも引き摺り込んだらあの子は悪霊になり天に還れなくなっしまうんです。そうなれば生まれ変わることも出来ず、天にいる親にも会えない。
なので報告が早くて助かりました。
今回は早くに見つけてあげれて本当に良かった」
この後に
「いつも誰かが取り殺されてからの依頼が多くて手遅れなことが多いんです。」
と自嘲気味に付け足した。
私の言葉に亜門さんは何を思ったのか少し考えているようだ。
「……安部さんはこういったことから街の人を守っているんですね。」
(私達とは違う方向から人を守っている。)
「亜門さん、それは半分正解で半分間違いです。
私は別に守るとかそんな大きなことは考えてないですよ。どっちかというと死した魂を天に還すことが役目だと思ってます。
……こんな事を貴方に言うべきではないだろうけど、私にとったら人も喰種も差して変わらないんですよ。
死んだら同じですからね」
「…人と喰種は同じ、ではないです。あいつらは害獣でしかない。」
「そう、CCGに属する人はそう考えて普通です。
だから私はそこには入らない。考えが根本的に全く違うからです。」
(私も人から忌み嫌われることの方が多いから、喰種にも共感できる部分がある。もうこの辺から相容れない関係であることは明白だ)
それから私達はほとんど会話せず局まで帰ってきた。
私は亜門さんが仮眠室を貸します と言ってくれたので篠原さんが来るまで休ませてもらうことにした。
亜門さんは眠ったのかわからないが、朝、私が起きる前にコーヒーを用意して仮眠室まで来てくれた。