第8章 『仕事』
私は亜門さんと離れてから電話で依頼主を呼んだ。
依頼してきたのは特等捜査官の一人
篠原幸紀だ。
電話をかけてから暫くすると、ゲートの向こうから篠原さんと思われる体格のいい男性がこちらを目指してきた。
それに気がついた私はソファーから立ち上がりお辞儀をした。
「貴方が安部陽菜さんですね」
(想像以上に若いね)
「はい。怪奇現象が起きているとの報せにより来ました。
貴方は篠原さんで間違いなにですか?」
「ああ、私だよ。
それじゃあ、話は中でしたいから場所を移動しよう」
(女子大生ぐらいかな)
そう促す篠原さんに私は素直について行った。
そして通されたのは一つの部屋で小さな会議室のような所だった。
篠原さんに「座ってて下さい」と言われたので私は近くのパイプ椅子に腰掛け、一旦部屋を出て行った篠原さんの帰りを待っていた。
ガチャリと扉が開く音がしてから篠原さんがファイルを一つとお菓子を持って戻ってきた。
「いやぁ、お待たせしました。
つまらないものですがこれどうぞ」
その手にしていた箱を見た瞬間、
「わあっ!これあの駅前の限定ケーキじゃないですか!!!
本当に貰っていいんですか!!」
(前から食べたかったやつだ!!)
瞳を輝かせて嬉しさの余りそんなことを口走ってしまった。
「コホン……///
失礼しました。」
「そんなに賢まらなくていいよ。こちらもその方が気が楽でいいからね」
ハハハと笑いながらそう言ってくれた。
私はカァァっと頬を染めつつその言葉をありがたく思い緊張を少し緩めた。
そして勧められたケーキを美味しく頂きながら本題に入った。