第8章 『仕事』
「…確かに貴方の両親を奪った原因の喰種は死んだかもしれないが、貴方と同じように喰種に親を奪われる子供たちを守ろうとは思わないのか!」
(何故、あれだけの力を持っていても戦おうとしないんだ。
……確かに当時の捜査員の行動は決して許されるものではないが)
「…確かに同じ思いをしている子供たちもいるんでしょう。
助けたい、とも思いますよ?でも私の中での優先順位はそれが1番じゃない。
私は私に関わりのある人たちをまず守りたいんです。それに別の仕事もあります。」
ここまで言ってやっと亜門さんは言葉を紡ぐことをやめた。
「わかりましま。こちらの意見を押し付けたことは謝罪します。」
そう言って彼は頭を下げた。
「別に謝罪はいらないですよ。私の力を知ってそう考える人は多いですから。
それに仕事として私に依頼してくれたら協力もできる範囲でしますよ。
勿論、報酬によりますが」
私はニッコリとお金マークを手で作ってウインクして見せた。
「そうですか。
ところで安部さんは今から何処かへ出かけるんですか?」
(この人にはこの人の強い考えがあるのか…。私にはわからない事だな)
「そうですよ。
仕事が入ってるんで。しかもタイミングか良いことにCCGからですよw
だから一瞬わざわざ迎えに来たのかと思いましたよ」
(部屋のことはついでっていうねw)
2日連勤です。とピースサインを示して肩を竦めて笑った。