第8章 『仕事』
金木と分かれて、私は扉の壊された我が家へと足を運んだ。
すると私の部屋の前にちょうど今から会いに行こうとしてた人がいた。
「あ、亜門さん。こんにちわ」
「!ああ、安部さんですか。こんにちわ」
(気配が全くわからなかった)
私は亜門さんに今日丁度CCGに会いに行こうとしてたんですよ、と笑いかけた。
「CCGにですか?」
(仲間になる気になってくれたのか?)
「今から数日仕事で出るので部屋の件がどうなってるのかだけ確認に行こうと思いまして。
まだ手はずが整っていないなら大切な荷物を友達のところに預けようと思ってるので」
(クスクス その顔は私が仲間になってくれるとか考えてたのかな)
私の答えを聞いて顔にはあまり現れてはいないがどう見ても落胆していることが伝わるほどテンションが下がっている。
そして唐突に「申し訳なかった…」と謝られた。
直ぐに私は何に対してかわかったが意地悪く聞き返した。
「何に対して謝ってるんですか?」
「…それは、…6年前の事です。」
亜門さんは本当に申し訳なさそうに、頭を下げた。
「謝らなくてもいいですよ。昔のことです。それに亜門さんはそのことに関係してないでしょう?
でも、これで私がCCGに入らない理由がわかったんじゃないですか?」
私はそう淡々と話した。
「…っ!ですが!!貴方の力は喰種を狩るためにあるんじゃっ!
あんな事があって憎くないのですか!」
ばっと顔を上げて口早にそう言った。
「たまたま喰種に効くだけですよ。
それにその流れでいくと私からすればその対象はCCGですよ。止めを刺したのは捜査員の人なんですから。」
「だが原因は喰種です。」
「ははっ だから今更そんな事は関係ないってことですよ。原因が喰種でも止めを刺したのが捜査員でも。
それに、その原因の喰種はもう仕留められているので私は喰種を憎む理由がありませんので」
私は怖いほどに笑顔を貼り付けて亜門さんに笑いかけた。
喰種だの人間だの私にとってはそこまで重要ではないというのに しつこいったらない。