第4章 『正体』
「ってことだ。
私にはあいつを信用することはできねぇけど私達の敵にはならないってことは何と無くわかる」
「あの子は人間の中では珍しい、私達に理解のある子だよ」
じゃないと金木君はとっくに通報されてハトに殺されているよ。と、全く笑えないジョークを言った。
事情が事情なだけに永近を病院へ連れては行けないのでマスターに頼んで今日はあんてぃくに留まらせてもらった。
そして、金木はあんてぃくで喰種の事をマスターから教えてもらうためにここでバイトすることにしたらしい。
次の日
「金木君、ここでバイトすることにしたんだね!
ちゃんとコーヒー上手く入れられるようになってね!私、ここのコーヒー大好きだから!」
「う、うん。頑張るよ。
…だから飲みに来てね?」
「勿論だよ!」と元気に返事した。
私はこの時から金木が淹れるコーヒーが楽しみになっていた。
そして今私達は大学に向かっている。
永近は勿論お休みだ。
命に別状はないけど酷い怪我は沢山あったからだ。
あんてぃくで目覚めた永近には3人は事故に合ったと説明して、近くにいたトーカちゃんに手伝ってもらって2人をあんてぃくに運んだと話した。
勿論、金木のことを話せないのだからこれは全て嘘だ。
永近に「西尾先輩は?」と聞かれたが「西尾先輩は家が近くだったから家に送ったよ」と答えた。
実際はその場に放置してきたので生きてるかすらわからない。
当の本人である永近はトーカちゃんに助けてくれたお礼だと称してお茶に誘おうと試みていたがどうやら失敗したようだ。
私も一応助けた1人なのに忘れてるみたいだ。
もう、ほっとくしかないね