第4章 『正体』
私が部屋を出た後
「…ねぇ、トーカちゃん。
僕とヒデを運んだのも安部さん?」
(男2人も運んだのかな?そらならかなり大変だったよな)
「…あいつにちょっと離れた所にいたのを見つかって手伝わされたんだよ」
〜回想〜
「あ、この2人どうしよかな〜。
男2人担いで運ぶのはしんどいし、でも1人ずつ運んで片方を運んでるときにもう片方が見つかってたりしたら面倒だしなぁ」
ブツブツと独り言を言いながら思案しているとビルの上から知っている気配がすることに気がついた。
「…。あの、そこにいる人、運ぶの手伝ってくれませんか?
あなた『あんてぃく』で働いている人ですよね?」
「おーい」と何度も呼びかけたが反応はなく、仕方なく直接言いに行こうと思った時、ビルの上からヒラリと降りてきた。
「来てくれてありがとう。
もう少しで居ないのかなと思って見に行くとこだったよ」
「…」
(何で私のことがバレたんだ?
…それよりこいつ私が喰種だってこと気が付いてるな。殺さねぇといけないけど…こいつは強い。
多分私じゃ殺せないだろう)
黙って突っ立ってるトーカちゃんをそのままに私は金木を担いだ。
「永近のこと頼んでいい?金木君は私が持つから。もしかしたら目が覚めて暴れて危ないかもどからね」
落ちないようにしっかり背に乗せた。
「あ、それとね。今の時間でもあんてぃくにマスターはいるかな?
2人とも病院に連れて行くわけにはいかないし」
(この辺の喰種の中では一番信用できるのは彼処のマスターだからね)
「ええ、いますよ。
それじゃあ私は永近さんを運びますね」
(こいつ、私に人間の方を預けるのか?
私が喰うかもしれないのに)
トーカちゃんは内心疑問を抱きながら永近を担いで私と一緒にあんてぃくへと運んだ。
〜回想 終了〜