第4章 『正体』
マスターの問いかけに私はハッキリと答えた。
「違います。
皆さんは妖でも悪魔でもないでしょ?
唯、人しか捕食対象として見ることができないだけ。そして人ではない生き物というだけ。
違いますか?」
「…そうだね。
では喰種を殺しはしないんだね?」
「そっちが襲ってこなければ」
(来たら返り討ちにするだけ。もちろん命も奪う時は奪う)
「そうか。ありがとう。
安部さん、もう一つ聞いていいかい?」
「はい、大丈夫です」
(私の体質は気付かれてないみたいだね。よかった)
「君は、私達と人間を識別出来ているね?」
私はこの問いに驚かされた。
体質以上に気付かれているとは思わなかったからだ。
マスターは私の反応から肯定と受け取ったようだ。
「当たっているんだね?
前に金木君とここに来た時、自然を装って金木君が注文したサンドイッチを変わりに食べていたね。
いつもはそんなことしていないのに」
「え?」
(安部さんは僕のこと最初からわかっていた?)
「よく見てるんですね。
…マスターの言う通りです。気づいてました、というより普通に喰種か人かの区別を一瞬で付けることができるんですよ。
気配の出方が全く違うので」
私はアハハと笑いながらそう言った。
そして私は金木に向き直った。
「金木君、私はその辺の人より全然強いし、
別に金木君が喰種であっても全く怖くない。
殺される事もない。
貴方が他の人にバレたくないと言うなら私はバレないようフォローも手伝う。
金木君…私は貴方の味方だよ」
そう言い終わると金木の目から涙が溢れてきた。
金木は顔を手で覆いながら何度も「ありがとう」と言い続けた。
「よし!これで私のことはザックリ知ってもらったのでOKですね!私は永近の様子見てきます。」
そう言って私は隣の部屋で寝かされている永近の所へと向かった。