第4章 『正体』
すると、突然金木に腕を掴まれた。
しかも間の悪いことにあの時の傷のところだ。
「…トーカちゃん。
彼女は人間だから危ないことはしないで欲しい」
「んなことしねぇよ。それより、そいつ痛がってんぞ」
トーカちゃんの言う通りで私は金木に傷のところをもろに掴まれて悶絶していた。
「うわっ!ごめん陽菜ちゃんっ!!」
「大丈夫、大丈夫。そんなに焦らなくても平気だよw」
と言った直後にポタリと床に私の袖口から赤いモノが落ちた。
「あ。」
「?これ、血じゃないか!早く手当しないと!
腕を出して!」
「え、ちょ!大丈夫!
って、めくったらダメだってば」
抵抗してみたが腕を掴まれ袖を捲り上げられた。
袖の下にはまだ真新しいと思われる何かに噛みちぎられたような傷が赤黒く残っていた。
「こ、れは…」
(もしかして、僕が食べたモノは…)
その傷を見て金木は固まった。
「バレちゃったか。
金木君、この傷は確かにあなたが食べた跡だけど、私が自分であなたの口元に差し出して受けたものだからね?
金木君の意思に反するってことをわかってて動いたんだからね?
あの状態で金木君をいさせるのが辛かったし、喰種の飢餓状態が辛いことも知ってるから。
あくまでも、私が無理矢理に金木君の口に突きつけたから!」
「だから気にしないで」と言った。
そしてあることを思い出した。