第12章 『本性』
「はぁはぁ…お、おい貴未はどこだ……!!」
息を切らした、ボロボロに弱った西尾先輩が入ってきた。
「西尾先輩!?」
「あ?クソ錦が何でいんだよ」
「貴未さん、帰ってないんですか!?」
(手紙には"来なかったら"って書いてたのに…!)
倒れかける西尾先輩に金木が駆け寄り、肩を貸した。
「あぁ…」
(クソっ!月山の野郎に目をつけられるなんてっ!!)
「…っ、私が会ったせいだ。…西尾先輩はここにいて下さい。必ず生きて連れ帰ります」
「お、れも行く。」
私はそう言う西尾先輩に「その体では無理だ」と言おうとしたが、先輩の必死の形相をみてその言葉を飲み込んだ。
口になんてできなかった。
私たちは手紙に書かれていた教会へと急いだ。
バンっ!!
勢い良く私は扉を開いた。
「西尾君…、君を呼んだ覚えは無いのだが」
教会の中にいたのは気を失い祭壇に寝かされる貴未さん、そしてピアノを弾く月山。
「貴未を…、貴未を返せっ…」
月山に対して敵意を剥き出しにし西尾先輩は叫んだ。