第12章 『本性』
「お久しぶりです。
あ、金木君 こちらは西尾先輩の彼女の貴未さん。」
「はじめまして、金木 研です。」
(西尾先輩の彼女!?……人間だよね??)
「で、用件はなんですか?」
「…っ、錦君を助けて!!
肉がいるけど私には調達できない…。」
「貴方自身をあげるのは?」
(自分は嫌だけど他の人なら大丈夫なの?)
「……私だと食べてくれない……」
そう言って貴未さんは肩口を見せてきた。
「一度、食べられかけたときのものだけど、結局は食べてくれなかった…。その後はこちらを見てもくれない。…コーヒーを買ってくるぐらいしかできないの」
そう言って肩口をしまい、俯いてしまった。
「……わかりました。ねぇ、金木君。マスターに頼んだら分けてもらえると思う?」
(2人の気持ちを軽く見てた…。こんなに強く思いあってるなんて)
「うん、大丈夫だと思うよ」
(人と喰種のこういう形もあるんだな…。殺しあうだけじゃない。……支え合える形……)
私たちがそう答えると貴未さんはパッと顔を上げて涙を流した。
「ありがとうっ…!!」
涙をながら何度もお礼を言ってから去って行った。
このやり取りを誰かに見られてるなんて思いもせずに私は貴未さんを見送ってしまった。