第12章 『本性』
「金木君は今日も大学には来ない?」
「うん、暫くはまた休むかな」
「そっか、なら私ができる範囲で周りにフォロー入れとく。休み過ぎたら戻りにくいでしょ?」
(永近も一応目をつけとかないと…金木君の知り合いだって暴露たら危険な目に合うかもしれない。錦先輩の時みたいに)
「助かるよ、ありがと」
そう言って私は昼過ぎだが大学へと向かった。
少し気になってることがあったからだ。
私は授業を終えて帰宅して行く学生に逆らい中へと入って行った。
私がまっすぐに向かった場所は私達が所属するゼミの部屋だ。
「…まだ治らないのかな」
私は誰も居ないことを確認した後すぐに部屋を後にした。
それから私は家へと帰らずにふらふらと歩いていた。
「やば、考え事しながら歩いてたらここ何処かわかんない…」
(恐るべき方向音痴……)
周りをキョロキョロと見回しながら歩いてると少し先の方から物音が聞こえたので誰か居るのかと思い様子を見に行って見た。
チラッと壁から覗くとどうやら誰かをリンチしてるようだった。そして珍しい事にリンチしてる側もされてる側も喰種のようだ。
私はやられてる喰種を見て驚いた。
(!?西尾先輩、どうしてやられてるの!?
割と強い方でしょ!)
私は自分の知ってる人であったことに驚き、路地に脚を踏み込んでいた。
バキッ……
「誰だ!!…あ?人かよ」
「何見てんだよ。お前もやられてぇのか?」
そう言って西尾先輩を蹴っていた奴がこちらを睨んで来た。
こちらに気づいた西尾先輩と目があった。
「う…ぁべ……」
ボコボコな状態で西尾先輩は私の名前を呼んだ。