第3章 『目撃』
西尾先輩をドサリと地面に落としフラフラと金木が永近に近づいて行く。
「うまそう」や「肉」と呟きながらどんどん迫っていく。
「金木君、それをしたら後悔するよ…?」
私は路地裏に入り声をかけた。
私の声に反応して振り返った金木は片目が赫眼になっていた。
私を見る金木はまだ意識が少しあったようで目を大きく見開いていた。
しかし、それも長くは続かず金木は正気を失ったようだ。
「ぅう…!に、く…肉、肉肉肉肉‼︎‼︎」
と叫びなから私に飛び掛かってきた。
私はそれを素早く避け、右手の中指と人差し指のみ立て、刀印を結んだ。
「悪いけど私は、殺されるわけにはいかないから。
縛縛縛、不動縛」
そう唱えると金木は金縛りにあったかのようにピタリと動きを止めた。
「ぅぐ、ぅあ"あ"あ"」
そんな金木に私はゆっくり近づいた。
「動けなくしてごめんね、あのままあなたに喰われて殺されるわけにはいかないからさ」
「ぐぅぅ…あぁぁ」
「…もう意識もほとんどないか。
金木君は怒るかもしれないけど、あなたをこのままにはしておけない。
だから、私の“肉”を食べていいよ」
私は金木の口元に腕を差し出した。
ガリッ
すると直ぐに金木は私の腕に噛み付いた。
「っ!!…つ〜!やっぱり痛いな〜」
私は金木がブチッと腕の肉を噛みちぎったタイミングで一歩後ろに下がった。
そして顎目掛けて思いっきり回し蹴りをして脳震盪を引き起こして気絶させた。
「ぐは…」
バタン……