第3章 『目撃』
トントン…
トントントン…
「今日も留守のようだね」
「こんな朝早くどこに行っているのでしょうか」
「それは私にもわからないよ。
ここにいても意味がないから私達も仕事に行くとしようか」
2人がその場を離れようとすると、ガチャとドアの開く音がした。
「あら?お隣の子に用事かい?」
そこにはゴミを出しに来たと思われる女性がいた。
「おはようございます。
朝から煩くして申し訳ない」
「いえ、それはいいんですよ。…それより、御二方はCCG(喰種捜査官)ですよね…あの、もしかして隣の子って…」
女性は声を潜めて尋ねた。
「いえ、その心配はありませんよ。むしろ彼女の近くの方が安全なぐらいですよ」
「そうですか。ならいいんですよ。
それより、隣の子は昨日から帰って来ていませんよ。ドアの開く音がしなかったんでね」
「そうですか。では、これで私達は失礼しますよ」
2人の男達は軽く会釈をしてその場を去った。
「…危ないところね。見つからないようにしなければ」
2人の姿が見えなくなるまで女性は2人の背中を見つめていた。