第11章 『レストラン』
「ようやく聴いてきたようです!
ハプニングにも対応できるよう、事前に薬を飲ませておきました!
勿論、皆さんに食べて頂く時には綺麗に胃を洗浄しますので問題ございません。」
と軽やかに月山が客たちに説明した。
「金木君の鼻、大正解だね。」
(…動けないあの女性を守るのは無理そう。金木君もさっきの惨劇を見て体が硬くなってる。)
私は金木の隣を動かずにことの成り行きを見守る選択をした。
簡単に言えば私は女性を見捨てた。
「ぃや…っ!う"」
動けずに床に這いつくばる女性を男は鷲掴みにし、テーブルの近くに設置されていた鉄板の元へと向かった。
まさか、人間を鉄板で焼くことは無いだろうと希望的観測を持ったがその期待は直ぐに崩れ落ちた。
ジューー
「あ"あ"づ、い"っ!!あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"っ……!!!」
生きたまま鉄板の上に押し付けられた女性は人間のものとは思えないほどの苦痛に歪んだ声を上げた。
だが、それも徐々に収まり最後にはこんがりと焼かれた肉となった。
その様子を上から見ている客たちは男の調理方法に文句をこぼしていた。
「あのスクラッパー順番がわかってねぇな!」
「シャワーで汚れを流してないんですから先に洗ってから焼いてもらわないと」
そんな会話が耳に入ってきた。
「…狂ってる」
(こういう喰種がいるからか弱い喰種の親子が引き裂かれることになるんだ。
…と思ってここにいる奴らを皆殺しにしたいけど、数的に無理だ。
逃げることだけに集中しないと)
そしてついに、こんがりと焼かれた肉は台車に乗せられ外へと運ばれた。