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君の為に詠う

第5章 昔話


悲しそうに笑うサリナさん。
その笑顔が僕にはとても見ていられなかった。




アラ   「どうして知らないんだい?アリババ君…。」



ミグ   『俺も知ったのは城に賊が入るその日だったからな。夜、こっそり王に呼び出されて初めて知った。だからアリババは…。』


アラ   「そうなのかい…。じゃあ、アリババ君に話さなくてはいけないね!」



暗い雰囲気を振り払うためにも精いっぱいの笑顔で言った。



でも、



ミグ   『言わないよ。』






アラ   「え!?」




ミグ   『アリババには言えない。言ってはいけないんだ。』


どういう事なんだろう?言えない?どうして?



アラ   「な・・・・なんで言わないんだい?」




ミグ    『ハハハ…。』


苦笑いを浮かべたサリナさんに僕はこれ以上、何も言えなくなってしまった。



ミグ   『私がいたら…兄さんは不幸になってしまうだけだから。』


アラ   「え?それってどういう・・・。」
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