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sky memory

第3章 記憶の断片、笑顔の破片 金城白子 現代(学生時代有)切


風が吹く
揺れる風に靡く髪
ここに来ると思い出す
君の笑いと、そのシグナルを

-記憶の断片-

「やぁ、また来たよ。って言っても何ヶ月ぶりかな。君に会うの」

『待ってたよ。白子、来てくれたんだ』

そう言って君の手に自分の手を重ねる
俺も待っていたよ
この日を
本当の笑顔で笑ってくれる、その日を

「当たり前だろ。何年経っても会いに来るさ」

静かに目を閉じて暗闇に浸る
目を開けた時の明るい世界とは違う
何も見えない、ただ黒という色に染まるだけ
この時間だけは君を思える、呼べる、笑かけられる

「好きなんだから。これくらい当然だよ。全く気を遣うところは何年経っても変わらない」

目を開ける
視界が広がる
青い青い澄み切った空
喧騒が渦巻く、この都会で
ここは唯一の俺の癒しだ
分かっているのに、どうしても分からない
君が目の前に現れてくれないことが


俺には分からないんだ


-白子学生時代 回想-

桃色の季節
ピンク色の花弁が舞って地面に絨毯を作るほど花びらが散る
そんな中、はしゃいでいるのは笑顔が似合う女の子
俺の隣で、いつも明るく話す少女は可憐という言葉がぴったりだ
いつも他人ばかり気にかけていて自分の弱みは滅多に見せない
たまには頼ってほしいのに笑顔で上手くかわされてしまうこと、しばしば
本当に不器用な男はこれだから困るよって、いつも思う
でも、君の隣にいれて毎日がほとんどそれの繰り返しで幸せなんてものじゃない。それ以上に幸福なんだ

「白子ー!桜だよ。桜!綺麗〜一緒に遊ぼう」

桜の木の下に立ち両手を広げて笑う姿、ため息が出るほど可愛らしい
俺は、あまり自分から積極的にいくタイプではないからいつも彼女に連れられる感じでいる。日頃から無邪気で素直な琉璃。だからなのか、とても惹かれるし連れられることに対して嫌な気分にはならない。
今回の花見も彼女の提案で放課後、校庭の桜並木の下で待ち合わせをした
どうしてだろうか、いつからだろうか
彼女と会うのが日に日に楽しくなっていく
俺に恋を教えてくれた人でもある
ただ、あまりに好奇心旺盛なところはたまに心配になるところだ

「あんまり騒ぎ過ぎないようにね。また転ぶといけないから」

元気過ぎるというのか彼女は怪我することが多いのが本当に心配だ
だから俺が見守ってあげなくちゃと、よく思う
そう君を守りたい
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