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sky memory

第3章 記憶の断片、笑顔の破片 金城白子 現代(学生時代有)切


君を気持ちを幸せにしている桜のように俺も、そんな存在であればいいと思っている
ふと見上げれば青い空
風で桜が舞い上がり一つの絵を表しているようだ
俺は、この空を忘れないだろう
君と過ごすこの時を

時は過ぎる
いくら俺たちが立ち止まっていても待ってはくれない
そう君のように
儚くて小さい
触れたら壊れてしまいそうなほど大切な




「ねぇ、白子。私がいなくなったらどうする?」

ある日、君はこんな話を持ちかけた
一緒にお昼を食べていた時のことだった
彼女は箸で卵焼きを掴んだまま笑っていた
そう、どんな時でも笑っている
それが彼女だ
けれど俺は気づいていた。それが、いつもの笑い方ではないことに
無理して笑う時なんてお見通し。目が笑っていない
頼ってほしいのに頼ってもらえない、そんなことが少し悔しかった

「何を隠してるの。その笑い方、俺が気づかないとでも思った?それに…その質問には答えられない。だって有り得ない。俺は琉璃を離したりしない、どこへも行かせないよ」

肩をビクっと震わせて箸で掴んでいた卵焼きを弁当箱の中に落とす
彼女は顔を上げて苦笑いした
そうすれば観念したように家族の話をし出した
一つ上の兄がいるらしいが、あまり仲が良くないみたいだ
話を聞いているとお兄さんとの喧嘩が耐えなくて少しばかり殴り合いになるらしい

「白子には敵う気がしないよ。本当に…、また兄貴と喧嘩しちゃって」

男と女の喧嘩ならば有利になるのは勿論、男になる
それならば多少の手加減はしているのかと考えた
それで彼女はいつも制服で隠れている痣や傷を渋々見せる
大したことはないと、おちゃらけて笑うのだけれど見たところ本当に痛々しい
その度に俺は拳を握り締める癖がついた
悔しくてどうしようもなくて兄に会わせてほしいと何度も頼んだのだけれど答えは結局、同じで
無力も無力

「大丈夫だってーただの喧嘩だし!それに兄だって色々と疲れてるんだよ。外じゃなかなか八つ当たりもできないでしょ?」

それも家族だから出来ることだと、だから私は愛されているんだと言っていた
その時は本当に幸せそうに言うんだ
あまりにもしつこいと彼女に迷惑をかけそうだったので、それ以上は口出しをしなかった
彼女が、そう言うならいいかと納得してしまう自分がいた

しかし、これが彼女のシグナルだと気づけずにいたんだ
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