第2章 第ニ章
「時音さん、もしかしたら、万が一ですが、あなたが神谷道場の面々に殺されるかもしれません。まぁ彼らは緋村抜刀斎と違って人を殺した事が無さそうなのであなたの命を奪う事はしないかもしれませんが。後で僕の部屋に来てください」
宗次郎さんが優しい表情で言った。
「えっ?」
「分かりますか?あなたの力量を計るためです。この広い中から僕の部屋を見つけ出してみてください。あなたに僕の部屋の情報は与えません。あなた自身で見つけ出してみてください。制限時間は半日です。明日の朝までに見つけ出してください。それができなければ正直言ってあなたは使い物になりません。神谷道場の面々を早急に始末して欲しいですから、神谷道場の面々を見つけ出す力を鍛えてください」
「宗次郎」
「志々雄さん」
「……好きにしろ」
志々雄さんと宗次郎さんがお互いを制するように名前を呼び合って、志々雄さんが折れたような答え方をした。
……?
しかし……宗次郎さんって本当に優しいな。
悪者だったら私にここまで優しくしないと思う。
……宗次郎さんの部屋を見つけ出す……制限時間は半日……余裕だね。
しかし……もう夜だからだんだんと眠気が……。
眠気に負けないように頑張って探すしかないなぁ……。
「では僕は部屋に戻らせていただきます。おやすみなさい、志々雄さん。僕は朝まで起きていますのでいつでもお呼び
ください。……あ……」
宗次郎さんが何かに気付いたように私を見て、
「志々雄さん、包帯お借りします」
と言って、奥へ行って、包帯を持ってきて私の前に立った。
「30秒経ちましたら外していいですよ」
と言って私の目を隠すように包帯を巻いた。
「えっ……」
視界が白く遮られる。
「僕がどこに行くか、見られては困りますので」
「あ……はい」
宗次郎さんが私の頭の後ろで包帯を蝶々結びして私から離れた。
「では、僕の部屋を探してください。志々雄さん、時音さんに情報を与えないでくださいね」
そう言うとガタッと扉の開く音がして宗次郎さんがどこかに行ってしまわれたみたいだ。
1……2……
私は心の中で数えた。
28……29……30
よし!
私は目元の包帯をほどいて
「志々雄さん、行ってきます!」
と志々雄さんに告げて、志々雄さんの部屋を後にした。