第2章 第ニ章
「なんだ?宗次郎?その女は」
宗次郎さんに連れられて拠点らしき所に辿り着き、包帯を巻いた男の人の前に連れて行かれた。
「僕の見込んだお嬢さんです。どうやら抜刀術が使えるようです。このお嬢さん、緋村抜刀斎に勝てなくとも神谷道場の者達には勝てると思います。神谷道場を潰せば、抜刀斎の生気を削ぐ事も可能だと思います」
「おいおい……神谷道場を潰したら抜刀斎のこっちへの殺意を掻き立ててしまうじゃねぇかよ」
「お困りですか?」
「楽しそうじゃねぇか。やれ」
「はい」
な……なんなんだろう……宗次郎さんと……この包帯の人……。
ひょっとして悪い人……?
「時音さん、こちら、志々雄真実さんです。僕が仕えるお方です。くれぐれも失礼の無いよう。志々雄さん、このお嬢さんは明治 時音さんです」
「時音、使えない奴は要らねぇ。神谷道場の奴らを潰せ」
「時音さん、僕は緋村抜刀斎を倒します。あなたは神谷道場を頼みますね。もし少しでも弱音を吐いたり僕達を裏切ったりしたら……」
宗次郎……さん……?
私は宗次郎さんに喉元に刀を突きつけられて一歩後ずさった。
心臓がバクバクと音を立てる。
殺される――。
逆らったりしたら殺される……!!
宗次郎さんが笑顔で私を見つめたまま一歩前に進んで私の喉元に刀を突きつける。
私はこくこくと頷いた。
「なんでもやります。やらせてください」
そう言いながら宗次郎さんの笑顔を見ていたら、この心臓の高鳴りが、殺されることへの恐怖なのか、美しい笑顔の宗次郎さんを見ているからなのか、分からなくなった。
「宗次郎、時音に抜刀斎の事と神谷道場について説明してやれ」
「はい」
宗次郎さんが笑顔で刀を鞘に収めて私に緋村抜刀斎と神谷道場の面々を詳しく説明してくれた。
緋村抜刀斎という者が志々雄さんの命を狙っているらしい。
それは……確かに倒さないといけないと思う。
緋村抜刀斎の弱点が神谷道場の、緋村抜刀斎の仲間達。
神谷道場に住んでいるのは緋村抜刀斎を含めて五人。
けれど、緋村抜刀斎が神谷道場を出て、神谷道場の面々も緋村抜刀斎を追う為にそれぞれに旅に出たとのこと。