第1章 第一章
「お嬢さん、お名前はなんと言うのです?」
少年が前を見たまま後ろの私に質問した。
「時音……明治 時音」
「明治 時音さんですか……」
「あなたの名前は……?」
「僕は瀬田宗次郎」
「宗次郎さん……」
「本来ならさっきの通り魔の方を誘いたいですけど……時音さんを見た時からなんだか放っておけなくなってしまって」
「え……?」
「身寄りが無いなら僕の所に来ませんか。志々雄さんの所に。あなたの剣術、少し拝見させてください」
宗次郎さんが私を見て微笑んだ。
「それよりまずは時音さんのご両親を弔いましょう」
「はい……」