第3章 第三章
息を切らせて全速力で3分ほど走って、目の前に見えてきた扉を開けた。
「時音さん……」
宗次郎さんが私を見た。
宗次郎さん、志々雄さん、由美さんの3人が居た。
「時音、俺達は今から出かけてくる。お前もしっかり任務を遂行しろ」
志々雄さんが私の方を顔だけ振り向いてそう言った。
「あの!!!この拠点を出るまでご一緒させていただいてもよろしいですか!?」
私の言葉に由美さんと宗次郎さんがきょとんとした。
「ああ、いいぜ」
「よかったですね、時音さん」
宗次郎さんが微笑んだ。
「お嬢ちゃん……時音、志々雄様は私の愛するお方よ。いいこと?志々雄様に色目使ったら許しませんからね」
「時音が俺に色目か……それは無ぇよ。時音は宗のもんだ」
「まぁっ。ふふっ。そうですね」
由美さんが志々雄さんに手で触れながら私を見て微笑んだ。
「ついてこい時音」
志々雄さんが先頭を歩き出し、由美さんと宗次郎さんがそれに続いた。
私は宗次郎さんと並んで歩いた。
「これから先は私語は厳禁です。志々雄さんに従事する事だけをお考え下さいね」
宗次郎さんが私に優しく言った。
「はい」
「宗次郎、俺はしばらく新月村に居座る事にする。宗次郎は今日は神谷道場の監視をしておけ。情報が少なすぎるから情報をかき集めろ。時音は宗とは別行動だ。神谷道場の面々を見つけ出し、始末しろ」
「はい」
「はい」
私と宗次郎さんが同時に返事した。
「はなっから時音に期待なんてしちゃいねぇさ。時音は護衛の奴らより少々腕が立つ。宗の連れてきた女。だから使ってやるまでだ」
「ありがとうございます」