第3章 第三章
「夜は僕のそばから離れないでください。万が一のために……。あなたを護る意志があるのは僕しかいませんから。鎌足さんとか、宇水さんとか、あなたを狙いそうなので……。二人共今はここには居ませんけどいつ戻ってくるか分かりませんので」
「…………」
「鎌足さんは志々雄さんに近づく女性を始末したいと思っているようなので、念のため用心が必要です。宇水さんは志々雄さんにさえ敵意を剥き出しなので、あなたに何をするか分かりません」
「ありがとうございます」
宗次郎さん……こんな私を心配してくれているんだ……。
「……大丈夫ですか」
「えっ?」
「つい先日ご両親を亡くされたばかりなのに……こんな仕事……。やっぱりあなたには任せない方がいいかなって……」
「大丈夫です!なんでもやります!!」
「……そうですか……辛くなったらいつでも言ってくださいね。でも志々雄さんの前ではいかなる泣き言も禁止です。僕の前だけで言ってください。僕が志々雄さんにうまく伝えてあなたを護りますから」
「ありがとうございます宗次郎さん……」
宗次郎さんって本当に優しいな……感激……。
「時音さん」
「はい……?」
「ずっとここに居てもいいんですよ」
「……え」
「と言いますか……あなたに他に行く宛てがあれば……今のうちに抜け出すのも……止めはしませんが……」
「行く宛てですか……」
親戚の家に行ったら私を受け入れてくれそうだけど……。