第2章 第ニ章
「初めてですよ、自分の布団に人を入れたのは」
えっ……。
ドキンっとしてしまった。
「ずっと一人で眠っていましたから……」
「そう……なのですか?」
「あなたは違うのですか?」
「……私も……そうです……」
私も自分の布団に誰かを入れたことなど無かった。
布団の隣の布団に誰かが寝ていた事はあったけど……お母さんやお父さんとか……。
死にたい気持ちが強く蘇ってくる。
宗次郎さんがぐっと私の手を握る。
その強さに我に返る。
宗次郎さん……もしかして私の心が……解るの?
「あの……今……何か悲しい事考えてませんでした?」
宗次郎さんが私に問い掛ける。
「えっ……」
「少しだけあなたの気が……悲しそうだったので」
やっぱり解るんだ……宗次郎さん……。
相手の気を感知できるなんて……宗次郎さん……やっぱり凄く強い。
眠気がふっと襲ってきた。
暗さに目が慣れてきて、宗次郎さんの顔が目の前に浮かび上がる。
こんなに近くに居たんだ!!と眠気が吹き飛ぶ。
「宗次郎さん……ち……近いです」
私の言葉に宗次郎さんがにっこりと微笑む。
「今は何もかも忘れて……眠りましょう」
宗次郎さんがそう言って目を閉じる。
美しい……宗次郎さん……。
私を……信頼してくれているんだ……。
私をこんなに近くに居させてくれて……。
警戒心の欠片も無いな……。
ありがとうございます……宗次郎さん……。
私は眠気に襲われて目を閉じた。