第3章 彼の正体
「とりあえず、今日はもう寝たらどうかな?まだ疲れが取れてないみたいだし」
昨日の夜、トーマという男の人にそういわれ、
私は、違和感がありながらも寝ることにした。
そして、私は、トーマの悲鳴で叩き起こされた。
「んん...何かあったのかな...」
私は少し重い体を起こし、悲鳴が上がった場所を探そうとして、
ドアの前まで来たとき誰かが勢いよくドアを開けてきた。
「うわぁぁぁぁ!」
驚きのあまり私はその場に座り込んだ。
見上げてみるとトーマだった。
「ん?あ...ご、ごめんね!その...」
「トーマさま!早くお城にいきますよ!」
トーマが私に事情と話そうとして口を開いたとき、
昨日一緒にいた少年(?)が正装をして手にはネクタイを持っていた。
よく見ると、トーマもネクタイなしの正装になっていた。
「やっぱり、あの人にあうなんて絶対にいやだ...」
今にも泣きそうな顔をしながら訴えている。
「ダメです。行かないとローズさまがか___」
「それ以上言うなっ!うう...ねぇ、ちょっと助けて...?」
トーマが私の目を見つめてうるうるしている。
そんな目で見てしまわれると断りにくい...
「ちょっと、お客様に助けを求めるなんて...そんなご主人さま、どこのお屋敷にもいませんよ。さぁ早くしてください!」
少年はトーマの手をつかみ、部屋から引きずり出し、
強引にネクタイをつける。
「いやだって!あんな人...人間でも女でもないよ!」
トーマは抵抗を続けたが、また強引に引っ張られ屋敷から出て行った。
ある意味あの人たちは大丈夫なのだろうか...
そのあと少しして、少年が慌てて部屋に駆け込んできた。
「あっ!ここにありました!...そうだ、真理さん、今日の夜までこの屋敷を空けますが決してこの部屋から出ないようにしてくださいね」
そういってまた少年は駆け出していった。