第7章 新たな日々
ミハエルが居なくなって、数ヵ月たった。
私たちはこの屋敷に2人きりだ。
私は、かなりのびのびと過ごしているような気がする。
「真理」
ソファで二人並んで座っている。
「なに?」
「…いや…」
トーマの方を向くと目をそらされた。
話しかけておいて何なんだと思い、
「ねぇ、なに?」
ときつめに聞いた。
「あ、や…」
ものすごく慌ててる。
2度深呼吸をしたあと、私の方を向いた。
その目は赤かった。
「えっ…」
「血を…ちょうだい」
腕をトーマに捕まえられてしまう。
そして、首に向かって牙を出す。
私は覚悟して目を閉じた。
直後、首に痛みが走る。
ものすごく痛い。
それを和らげようとしてくれているのか頭を撫でられる。
心地いいのに、今は痛い。
「トーマ…!」
「はっ…あ…ごめん…」
トーマが私から離れる。
「へ、平気だけど」
「痛いよね、許して…」
噛まれたあとを撫でられる。
「…真理の血…とっても美味しかった」
光のない目で、小さく呟いた。
一度瞬きするといつも通りに戻り、
にこりと微笑んでいた。
いや、少し…違ったのかもしれない。