第2章 救いの手
トーマは、死者の都につくと、すぐに少女が目に留まった。
「ミハエル…ごめん、やっぱり…無理。」
「えっ!?ちょっ、トーマさま!?」
一瞬のうちにトーマは、少女の後ろに回り、捕らえ、首筋に食らいついた。
「んっ………うまい………」
きっとこの時、トーマが一人で居たら、少女は死んでいただろうか…
「トーマさま!落ち着いてください!」
人間の姿になった、ミハエルが慌てて止めに行く。
その声でトーマは、我を戻したのか、少女を離した。
「ああ……どうしよう…死んじゃったかも…」
「大丈夫ですけど…このままここに置いていったら狼にでも食べられちゃいます…館に連れて帰りましょう!」
「うん、俺のせいだし…」
トーマは、軽々と少女を抱え、館へと歩き出した。
その後ろをミハエルがついていく。
「たく……こんな日に限って…」
ミハエルは、トーマにさえ聞こえない小さな声で呟いた。