第6章 黒猫の正体
トーマが戻って来たのは何時間も後だった。
「化け猫の居場所を見つけたよ。
一緒に来てくれないかな、真理」
まるで別人のような雰囲気に私はあとずさった。
するとトーマは私の腕をつかみ、部屋をでる。
「ちょっと…トーマ!?」
「君も来てくれないと…」
そしてついに屋敷の外に出た。
それでも止まらず、トーマと共に森の方へと入っていった。
しばらく奥へと進むと小屋が見えた。
トーマはその小屋に入ろうとドアを開けようとする。
鍵がかかっているようで、ガタガタと無理矢理開けようとする音が周りに響く。
「ねぇ、ミハエル、ここに居るのは分かってる。
すぐに開けてくれないか」
静寂が流れる。
扉は開く気配がない。
しびれをきらしたトーマは扉を蹴り飛ばした。
とんでもない怪力だと腰を抜かしそうになったが、
トーマが小屋に入ったので後に続いた。
「ミハエル、どこにいるんだい。
隠れても無駄だよ」
穏やかな口調ではあるけれど、
どこか闇があった。
この声で呼び掛けられても出てきたくないものだ。
ガタッ
奥の部屋から物音がした。
「なぁんだ、そこにいるんだねミハエル…」
迷わず奥の部屋へと行き、戸を開けた。