第6章 黒猫の正体
私はトーマの部屋で一晩過ごした。
が、特に何もなく、どちらかというと寝起きもよく、
心地よささえあった、が、ことは急展。
ミハエルが屋敷から居なくなっていたという。
もちろん、見張っていた訳ではないので、
いなくなってもおかしくはないと思う。
が、トーマは
「どうして、僕の力が効かなかったんだ」と
苛立ちと、悔しさが混ざったように呟いている。
「やっぱり、化け猫なんて置いておくんじゃなかった」
トーマは部屋の外へと出ていった。
取り残された私はただ、その後ろ姿を見ることしかできなかった。