第3章 彼の正体
背後から突然声がし、振り返った瞬間、
私は壁と彼に挟まれ身動きが取れなくなった。
「この部屋、どれぐらい見た?」
私が手に持っていた写真を取り上げ
睨むように見ながら聞いてきた。
私は恐怖で出なくなった声を絞りだして、
「ほ、ほぼ...全部...見ました...」
最後まで言ったか言わないかのタイミングで、
トーマは写真を手放し、私の首を掴んで持ち上げる。
「君は、余計なことを知っちゃったみたいだね」
さっきとは正反対に笑顔になって私をおろした。
いや、目が笑ってなかった...
「勝手にうろつかなかったらこんなことしなかったのに...」
私を下ろして、顔を近づける。しかし彼の目線は...私の首...!?
もしかして...トーマって...
「吸血鬼....」
私がこの言葉を口にした瞬間トーマの動きが止まった。
そして、悲しそうな目で私を見上げた。
その目はきれいで透き通りそうなほど透明感のある青で、
雫が溜まっている。
そして、トーマは口を開いた。
「ごめん...ね...怖い思いさせちゃって...
それとね、僕は...君が言った、吸血鬼なんだ...」
目に溜めていた雫が零れる。
彼が吸血鬼なのはさっき首筋に近づいたとき分かった...
「今度、君に話すよ...だから、部屋を出て行ってくれるかな」
私は、頷いて部屋をでた。