第3章 彼の正体
一部は破けていたり、シミで読めなかったが、
その本には、ある“伝説の怪物”についてこと細かく記されていた。
――1、太陽光に弱いが決して消滅はしない。――
――2、吸血鬼には3種いる。――
――3、吸血鬼は人間のように過ごしている。――
この3つのことを細かく説明するよう、ページ数は軽く
1000ページを超えていた。
なんでこんな本がここにあるのだろうか。
私は、見てはいけないものを見てしまったのだろうか...
本を元の位置に戻して部屋を出ようとした。
そのとき棚の上に写真が飾られていた。
ほこりがかかっていて見えにくい。
私は手に取りほこりをはらう。
そこに写っていたのは、トーマとあの少年と
見覚えのある、初老の男性だった。
「確か...あ...」
それは、4年前。ある男性が私たちの家に訪れたのだ。
その旅人の顔が、写真に写る人物と瓜二つだった...
「なんで...」
私はその男性と血縁があるらしい...
でも、人間だった...はず...
「勝手に出るなって言われたよね」