ときめきメモリアルGirl's Side【佐伯瑛】
第2章 未来の1ページ
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人懐っこい笑顔が、夏海にもおばさんにも似ているこの人が陸の…。
「あっ!じゃあ、陸の迎えに?」
「えぇ、すっかりお世話になってしまって…」
「あっ、じゃあ…僕が今連れてきますから。あの…上がって待って下さい……って僕が言うのも変ですが」
「ふふっ、じゃあお邪魔するわね」
リビングへと向かう叔母さんを残し、俺は夏海の部屋に陸を連れに戻る。
寝たままの夏海を起こそうかと悩んだけど、慣れないこの騒ぎに疲れたんだろう…と起こすのを止めた。
「陸…迎えが来たぞ」
そっと壊れ物を扱うように抱きかかえる。
寝ていたハズの陸がうっすらと目を開け、その瞳が俺を捉えると微笑む。
天使みたいだなぁ…って、そう思わずには居られないような笑顔。
無垢なそれはまさに穢れのない天使。
そして一人ベッドに横たわるもう一人天使の頬にそっと口付けて、階段を下りてゆく。
「お待たせしました」
「あら…陸ったら、すっかり佐伯くんが気に入ったのね」
階段を下りている途中でさ、陸なりに別れを感じ取ってるのかもしれない。
急に俺の服をギュって握ったんだ。
離れたくないって言ってくれてるようなそれに、ちょっと泣きそうになったんだ、俺。
「可愛いですよね、子供って」
「そうよね。でもね、佐伯くん。自分の子はもっと可愛いものなのよ」
陸の頭を撫でながら言った俺に、笑顔で返された叔母さんの言葉。
でも、何となく判る気がする。
だって…この子がお前が産んでくれた子だったら…なんて思うだけで、このまま離したくないって堪らなくそう思うから。