ときめきメモリアルGirl's Side【佐伯瑛】
第2章 未来の1ページ
子供が居てお前が居てって、こんな感じなのかなぁ…とか。
「あのね、陸はね、おばさん…お母さんの妹の子なの。昨日から預かってるのに、急にお母さん旅行行くから…とか言い出して」
「はぁっ…それで俺を呼んだのか?」
状況が呑み込めた俺は、ため息混じりに言葉を返す。
「…ごめんなさい。ほら、瑛くん面倒見がいいじゃない?だからお母さんが瑛くんが居れば大丈夫だからって」
「面倒見がいいっつったて、お前の面倒見るのと陸の面倒見るのじゃレベルが違うだろう?」
そう言いつつも、どことなくお前に似ている陸に視線を移すと、初対面にも関わらず不思議に愛しいような気になって、思わず手を伸ばす。
その俺の指を小さな陸の手がギュッと握るから、なんかさ…柄にもなく感動しちゃって。
「陸…」
ちょっと泣きそうな声なんか出しちゃってる俺。
「あぁ、陸は瑛くんが好きなんだね」
「キャハハ…アブ…」
お前の言葉に嬉しそうにキャッと声を上げて陸が笑う。
俺の指をギュって握ったまま。
俺にもこんなに小さくて、無邪気に笑ってた頃があったはずなのに。
いつからだろう?
演じるようになったのは。
親の望むいい子、みんなの望む王子、お客の理想の店員…。
なぁ、陸。
お前はさ、俺みたいになるなよな?
夏海みたいにいつまでも素直に自分らしく居られるようなさ、そんな男になるんだぞ?
なんて、まるで父親が我子の未来に思いを馳せるような心地で、陸の頭を撫でてやった。
「うわぁ…瑛くん、どうしよう?陸泣き止まないよぉ…」
泣いてる陸を抱きながら、泣きそうなお前。
ヤバイ、可愛い…。