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HQ短編‼︎

第4章 菅原孝支 思惑の指先 ②


苦し紛れの質問に、結は「澤村☆」とてへぺろしてみせた。澤村覚えてろ。あと、十中八九澤村に相談したであろう菅原許さない。

全てを包み隠さず話すのは中々に恥ずかしい事だった。終始真面目な顔で聞いていた結は、最後の最後に「もう無理ぃ〜」とか言ってヒィヒィ笑い出した。
私ももう無理です。ライフはもうゼロです。

「菅原がっつきすぎィ‼︎お腹痛いぃ、涙で前が見えないー」
中庭に結の笑い声が響く。何がそんなに面白いんだ。

「結ってば、声でかい……どんだけ笑ってるのよ、これ泣くほど面白いの?」
「しかも菅原、緋紗になめられすぎ。あれがただ優しいだけの人間だったら、今頃男バレであんなに信頼されてないわよぉ」
少し、はっとする。そう言えば、菅原のことは教室の顔以外何も知らなかったんだ。
「……バレーやってる菅原なんて知らないよ」
知りたくない、妥協してしまいそう。あの突然の暴挙を許すとか、ありえないし。ありえないから。
「あいつ、人並みにふざけるし中々毒舌だし、普通に男子高校生やってるよ」
「……へえ。そこに変態っていう項目追加しておいてね」

なんで?と心底疑問に思っているような顔の結に、赤面しながらキスされた時の詳細を語ると、なんともキリッとした顔で親指を立ててきた。

「……爽やか君の仮面を被った変態とか、よかったね緋紗!ロールキャベツじゃない!」
「どこをどう聞いたらよかったねっていう結論になるの⁉︎」

そういうあんたは澤村とどうなのよ、と話の方向をそらすつもりが、自分の話だけであっさりと朝の時間は終わりを告げた。
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